「健康保険被扶養者(異動)届」の添付書類が一部変わります。

平成30年10月1日以降、「健康保険被扶養者(異動)届」を日本年金機構に提出する場合の添付書類の取扱が変更になります。

厚生労働省が、日本国内に住む家族の方を被扶養者に認定する際の身分関係及び生計維持関係の確認について、申立てのみによる認定を行わず、証明書類に基づく認定を行うよう、事務の取扱いが示されたためです。

なお、一定の要件を満たした場合には、書類の添付を省略することができます。

扶養認定を受ける方が被保険者と同居しているときは下記表の項番1・2を、別居しているときは項番1・2・3を添付します。

項番 添付書類 目的 添付の省略ができる場合
次のいずれか

・戸籍謄本または戸籍抄本

・住民票※1

(提出日から90日以内に発行されたものに限る)

続柄の確認 次のいずれにも該当するとき

・被保険者と扶養認定を受ける方双方のマイナンバーが届書に記載されていること

・左記書類により、扶養認定を受ける方の続柄が届書の記載と相違ないことを確認した旨を事業主が届書に記載していること

年間収入が「130万円未満※2」であることを確認できる課税証明書等の書類 収入の確認 ・扶養認定を受ける方が、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることを確認した旨を、事業主が届書に記載しているとき※3

・16歳未満のとき

仕送りの事実と仕送額が確認できる書類

・振込の場合・・・預金通帳等の写し

・送金の場合・・・現金書留の控え(写し)

・16歳未満のとき

・16歳以上の学生のとき

※1 被保険者と扶養認定を受ける方が同居していて、被保険者が世帯主である場合に限ります。

※2 扶養認定を受ける方が次のいずれかに該当する場合は「180万円未満」です。(収入には公的年金も含まれます)

・60歳以上の方

・障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者

※3 障害年金、遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合には、受取金額の確認ができる通知書等のコピーの添付が必要です。

実務的には、マイナンバーを取得することが必須になっていく流れです。そして、扶養の認定も今よりも厳格になって行く流れですね。

 

生産性を向上させると助成金額が増えます(生産性要件)

わが国では、今後労働力人口の減少が見込まれる中で経済成長を図っていくためには、労働生産性を高めていくことが不可欠です。このため、国は事業所における生産性向上の取組みを支援するため、生産性を向上させた事業所が労働関係助成金(一部)を利用する場合、その助成額又は助成率の割増等を行っています。法人だけでなく個人事業主も対象となっています。

「生産性要件」って何?

助成金の支給申請書を労働局に提出する時点で、「直近の決算書」と「3年前の決算書」から計算した「付加価値」を各決算月の末日時点の「雇用保険の被保険者数」で割った数値を生産性といいます。

・生産性要件は、その3年度前に比べて生産性が6%以上伸びていること 

・「生産性」の伸びが1%以上6%未満の場合、金融機関から一定の「事業性評価」を得ること

(この場合は、借入金(なければ口座)のある金融機関から「与信取引等に関する情報提供に係る承諾書」に捺印をもらって労働局に提出する必要があります。)

※「付加価値」=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課

人数がもともと少ない会社だと、3年前に比べて利益が出ていても雇用保険に加入要件のないパートさんなどの人数に左右されてしまうこともありますが、要件を満たした場合は、ちょっと面倒に感じるかもしれませんが助成金額の20%増額されるものもあり、メリットが大きいので検討する余地は大いにあります。

 

「生産性要件」の設定をしている助成金

  • (再就職支援関係)
    • 労働移動支援助成金
      早期雇入れ支援コース、中途採用拡大コース
  • (雇入れ関係)
    • 地域雇用開発助成金
      地域雇用開発コース
  • (起業支援関係)
    • 生涯現役起業支援助成金
  • (雇用環境の整備関係)
    • 人材確保等支援助成金
      雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コース、人事評価改善等助成コース、設備改善等支援コース、雇用管理制度助成コース(建設分野)、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)、作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
    • 65歳超雇用推進助成金
      高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コース
    • キャリアアップ助成金
      正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース
  • (仕事と家庭の両立支援関係)
    • 両立支援等助成金
      出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース
  • (人材開発関係)
    • 人材開発支援助成金
      特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース
  • (最低賃金引き上げ関係)
    • 業務改善助成金

対象にならない場合

1)開業してから期間が経っておらず、3年前の決算書がない場合

2)3年前の決算月の末日時点で雇用保険の被保険者がいない場合

3)3年前の決算期の初日から助成金の支給申請をする日までの間に会社都合による退職がある場合

 

「生産性要件」の計算式

生産性=付加価値/雇用保険被保険者数

再度「付加価値」について確認していきます。

「付加価値」=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課

これら付加価値の対象となるものとして、通勤費などの諸手当があります。しかし、通勤費を旅費交通費に含めているような場合は対象になりません。あくまでも、どの勘定科目で処理していたかで判断されてしまします。勘定科目ありきなので、生産性要件の適用を考える場合は勘定科目をきちんと考えて会計処理すると有利になります。

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果:約7割の事業場が法令違反

厚生労働省では、「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成29年度)」を平成30年8月7日に公表しています。これは、平成29年度に、長時間労働が疑われる25,676事業場に対して実施された労働基準監督署による監督指導の結果を取りまとめたものです。

この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働数が1カ月当たり、80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

平成29年度は、監督指導を実施した事業場のうち70.3%の事業場で労働基準法などの法令違反が認められました。平成28年度の66.0%よりも、その割合が増加しています。

 

【平成29年4月から平成30年3月までの監督指導結果のポイント】

(1) 監督指導の実施事業場:25,676事業場
このうち、18,061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反あり。

(2) 主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
① 違法な時間外労働があったもの:11,592事業場(45.1%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:        8,592事業場(74.1%)
うち、月100時間を超えるもの:     5,960事業場(51.4%)
うち、月150時間を超えるもの:       1,355事業場(11.7%)
うち、月200時間を超えるもの:     264事業場( 2.3%)
② 賃金不払残業があったもの:1,868事業場(7.3%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:         1,102事業場(59.0%)
③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:2,773事業場(10.8%)

(3) 主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
① 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:20,986事業場(81.7%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:      13,658事業場(65.1%)
② 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,499事業場(17.5%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:       1,878事業場(41.7%)

※ 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。

(厚生労働省ホームページより)

なお、この公表に当たって、監督指導事例も紹介されています。いくつかピックアップすると、

◎36協定を締結・届出することなく、全労働者の約3分の1に当たる労働者28名について、月100時間を超える違法な時間外・休日労働(最長:月224時間)を行わせていた。

◎法定の休憩時間を与えていなかった。

◎健康診断において異常の所見があった者に係る医師の意見聴取を行っていなかった。

◎常時50人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、1年以内ごとに1回のストレスチェックを実施していなかった。

平成31年(2019年)4月から、働き方改革関連法による労働基準法や労働安全衛生法の改正も実施され、より一層の法令遵守が求められることになります。

ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

自然災害(台風、地震など)による休業で休業手当の支払いは必要か?

今回の9月4日の台風では、想定外の甚大な被害となり、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。リフォーム会社の方は休日返上で対応に追われているとお聞きしています。1日も早く通常の生活に戻る日が来るようお祈り申し上げます。

 

今回の台風は前日からJRが運休するという情報もあり、前日から臨時休業にすると決めていた会社も多くあったかと思います。また、直近では北海道で起きた地震でも、停電の影響もあり臨時休業にした会社は多かったと思います。このような場合の休業日の給与の取扱いはどうなるでしょうか?

 

労働基準法第26条には、以下のように書かれています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。(傍線筆者)

この条文では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」とあります。「使用者の責めに帰すべき事由」は広範に定められており、例えば事業業績悪化に伴う生産調整のための休日や取引先の倒産による休日など直接事業者の責任ではないものも含まれます。

自然災害による休業の場合は、こういった使用者の責に帰すべき事由には当てはまらないため、休業手当の支払義務はないと考えられます。

 

では、さらに詳しく解説していきます。

 

前日から臨時休業を決めていた場合(全日休業)、給与の支払い義務はあるか?

自然災害により始業時刻前に全日休業とした場合は、使用者の責に帰すべき事由には該当せず、かつ、使用者の経営管理上の責任とも考えられないため、給与の支払い義務は生じないものと考えて結構です。

 

一部休業とした場合の給与の支払い義務は?

今回の9月4日の台風では、午前中だけ仕事という方もいらっしゃったかと思います。このように就業時間中に従業員を早退させる場合には一応使用者責任の範囲外とみなされます。ただし、単に雨が降っているから早退させるというのでは合理的な理由に欠けるため、暴風警報や大雨警報の発令など客観的な裏付けが必要なので慎重な判断が求められます。

このように1日のうちの一部を休業とした場合の取扱いについては、現実に就労した時間に対し支払われる賃金が平均賃金の100分の60に満たない場合には、その差額を支払う義務が生じます。

例えば、平均賃金が1万円の従業員の場合、休業手当は6,000円(10,000円×60%)となります。
1日のうち一部休業した場合、現実に就労した分の賃金が5,000円である場合は6,000円-5,000円=1,000円となり、休業手当として1,000円を支払うことになります。現実に就労した分の賃金が8,000円であった場合には、8,000円>6,000円となるため、休業手当を支払わなくてもよいことになります。

 

有給休暇との関係は?

有給休暇は労働の義務があることを前提としているため、台風のために「休日」とされていた場合はそもそも労働の義務はなく、従業員は有給休暇を取得できないと考えられます。したがって、従業員が事後的に有給休暇にしてほしいと言ってきたとしても、それを認める義務は会社側にはありません。

台風で臨時休業になった日と事前に申請していた有給休暇の日が被った場合は、予知して申請されたわけではないので会社は有給休暇を認めなくてはいけません。

また、就業規則で、自然災害の際の特別休暇について定めていた場合は、それに従うことになります。会社側が恩恵的に有給休暇としてあげる分には全く問題はありません。

 

無期転換ルールの概要

無期転換ルールとは労働契約法の改正により、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールです。

〈労働契約法第18条第1項〉

同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、労働者が使用者に対して当該有期労働契約満了日までに無期労働契約の締結の申込みをすれば、使用者はその労働者の申込みを承諾したものとみなす。

 

平成25年4月以降の有期労働契約が対象となるため、平成30年4月から本格的に無期転換権の申込みの発生が見込まれるということで、厚生労働省は、「有期労働契約者の無期転換ポータルサイト」で無期転換権について導入支援、Q&Aで詳しく説明しています。

改めて、無期転換ルールの概要についてまとめると、以下の通りとなります。

(1)同一の使用者(企業)との間で

(2)契約更新が1回以上行われている有期雇用労働者の

(3)有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合

(4)労働者からの申込みにより、期間の定めのない契約に転換される

 

一つ一つ詳しく見ていきましょう。

 

(1)同一の使用者(企業)との間で

 

2つ以上の有期労働契約の相手方が「同一の使用者(企業)」であることが必要です。この「同一の使用者(企業)」というのは、同じ会社に勤務していた場合なので、例えばA支店からB支店に異動があっても契約期間は通算されます。

会社が合併や会社分割によって労働契約の承継が生じる場合も、労働契約は包括的に承継され、承継前後の使用者は「同一の使用者(企業)」であると考えられます。

派遣元会社に雇用されていた有期雇用契約の労働者が、派遣先の会社に有期雇用されることになった場合は、「同一の使用者(企業)」に雇用されていたとはみなされません。

このように事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断されます。

 

(2)契約更新が1回以上行われている有期雇用労働者の

 

労働基準法14条により、有期労働契約の契約期間は原則として最長でも3年とされているので、最初から契約期間を5年以上にしても「2以上の有期労働契約」の発生を免れることはできません。

 

(3)有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合

 

①無期転換権はいつ発生するのか?

無期転換権は、平成25年4月1日以降に開始したそれぞれの労働契約の期間を通算した期間が5年を超えた場合(つまり5年と1日)に発生します。この通算期間には、平成25年3月31日以前に開始した契約は含まれません。ですので、平成25年3月31日以前からお勤めの有期契約労働者の方がいらっしゃっても、あくまでも平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が対象となり、それが5年を超えた場合に無期転換権が発生します。

 

例)下記のような契約期間3年の有期労働契約を締結した場合

平成25年4月1日~平成28年3月31日まで

平成28年4月1日~平成31年3月31日まで ⇐ この契約のときに通算契約期間が5年を超えるので、無期転換権が発生

無期転換の申込みがあった場合、平成31年4月1日から無期労働契約となります。

このように、契約期間によっては無期転換権がすでに発生している場合があるのでご注意ください。

 

②通算契約期間の考え方

 

契約期間の通算は、労働者が育児休業を取得した期間、休職期間に入って働いていない期間があっても、労働者と使用者の間に労働契約が存続している限り、その契約期間は通算されます。

また通算契約期間の計算は、暦を用いて、年、月、日の単位で行います。契約期間の初日から起算して、翌月の応当日(月違いの同日)の前日をもって1か月とします。例えば、4月1日からの契約だったとすると、翌月の応当日は5月1日になるので、5月1日の前日である4月30日をもって1か月と計算していきます。

 

②端数がある場合の通算契約期間の計算方法

 

では、契約期間に1か月に満たない端数がある場合はどうなるでしょうか?端数の合算については、30日をもって1か月してカウントしていきます。

例)下記のような契約だった場合

1回目:平成25年4月3日~平成25年10月20日(6か月と18日)

2回目:平成25年11月5日~平成26年5月20日(6か月と16日)

通算契約期間は(6か月と18日)+(6か月と16日)=12か月と34日=13か月と4日として計算されます。

 

②クーリングについて

 

同一の使用者との間で有期労働契約を締結していない空白の期間が一定以上続いた場合、それ以前の契約期間は通算対象から除外されます。これをクーリングと言います。つまり、有期労働契約の期間が満了した後にクーリング期間が経過した場合、同一の使用者と再び有期雇用契約を締結しても、前の契約期間は通算されず、新たな契約期間となります。

一定の期間は、下記の通りとなります。

【空白の契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合】
・空白の契約期間が6ヶ月以上の場合
空白の契約期間が6ヶ月以上あるときは、その期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません(=クーリングされます。)
・空白の契約期間が6ヶ月未満の場合
空白の契約期間が6ヶ月未満のときは、その期間より前の有期労働契約も通算契約期間に含まれます(=クーリングされません)。
【空白の契約期間の前の通算契約期間が1年未満の場合】
空白の契約期間の前の通算契約期間に応じて、空白の契約期間がそれぞれ下記表の右欄に掲げる期間に該当するときは、空白の契約期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません(クーリングされます)。その場合、無契約期間の次の有期労働契約から、通算契約期間のカウントが再度スタートします。
空白の契約期間の前の通算契約期間 クーリング期間
 2か月以下 1か月
 2か月超~4か月以下 2か月
 4か月超~6か月以下 3か月
 6か月超~8か月以下 4か月
 8か月超~10か月以下 5か月
 10か月超 6か月

 

(4)労働者からの申込みにより、期間の定めのない契約に転換される

労働契約法第18条第1項で「無期労働契約の締結の申込みをすれば、使用者はその労働者の申込みを承諾したものとみなす。」とされているため、労働者から申し込みがあったら企業側はこれを拒むことはできません。つまり、企業は有期契約労働者からの無期転換の申込みを認めるかどうかの判断はできず、申し込みがあった時点で無期契約が成立することになります。

この申込みは、法律上は書面でなくてもよく、口頭で行ってもよいとされています。ただし、口頭では、言った言わないのトラブルになる可能性があるため、書面での対応をするようにしましょう。

 

契約期間によっては、もうすでに無期転換権が発生している場合も考えられます。無期転換の申込みがあったからといって有期雇用契約の労働者を正社員にしなければいけないわけではありません。しかし、就業規則がきちんと整備されていなかった場合や、就業規則を作っていたとしても無期転換された労働者にどの就業規則が適用されるのか明記されていない場合、また、就業規則をきちんと作っていて無期転換後は有期雇用契約の就業規則を適用させればいいと簡単に考えていると、定年が定められていないものであったり、見直しをしておかないと様々な不都合が生じる可能性があります。

無期転換の申込みをされてから対応するとなると今後の経営の計画が立て辛くなる可能性もあります。就業規則の変更をするにも、原則として労働者の同意が必要になってきます。また、同意を得ないで就業規則を変更する場合について、労働契約法第10条では下記のように規定されています。

 

労働契約法第10条

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする

 

これをまとめると、就業規則の変更により労働条件が不利益に変更される場合には、ⅰ.当該変更に合理性があり、ⅱ.周知がなされることを求めており、この要件を満たすことによって就業規則の変更による労働条件変更が拘束力を持つことになります。

 

いずれにしても、有期雇用契約の労働者がお勤めの企業の方は、なるべく早めに対応するようにしましょう。

求人票の労働条件を変更する場合の注意点〔改正職安法平成30年1月1日施行〕

ハローワーク等への求人申し込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間に労働条件を明示することが必要です。

この求人票等の内容は、あくまでも見込みとして幅のある記載をすることが多いため、求人票等に明示した労働条件と入社時の労働条件とが異なる場合がありえます。

求職者の経験、年齢、能力、希望の状況、面接や試験の結果などを踏まえて労働条件を個別に決めていくことがほとんどなので、求人票等に明示した労働条件と実際の入社時の労働条件が異なっていても当然に違法となるわけではありません。

ただし、労働条件が異なることによるトラブルが多いのは事実としてあります。

このような中、職業安定法改正により、当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示することが義務付けられることになりました。改正職安法は平成30年1月1日より施行されます。

 

労働条件の明示が必要なタイミング

 

〈ハローワーク等への求人申込み、自社HPでの募集、求人広告の掲載等を行う際〉

▶求人票や募集要項等において、労働条件を明示することが必要です。

※求人票のスペースが足りない等、やむを得ない場合には、「詳細は面談の時にお伝えします」などと書いた上で、労働条件の一部を別途明示することも可能です。

※この場合原則として、初回の面接等、求人者と求職者が最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示すべきとされています。

 

〈労働条件に変更があった場合、その確定後、可能な限り速やかに〉

▶当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければなりません。(職業安定法改正により新設)

※面接等の過程で労働条件に変更があった場合、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要です。

 

〈労働契約締結時〉

▶労働基準法に基づき、労働条件通知書等により労働条件を通知することが必要です。

 

最低限明示し負ければならない労働条件等

労働者の募集や求人申込みの際に、少なくとも以下の事項を書面の交付によって明示しなければなりません。ただし、求職者が希望する場合には、電子メールによることも可能です。

記載が必要な項目 記載例
業務内容 一般事務
契約期間 期間の定めなし
試用期間 試用期間あり(3か月)
就業場所 本社(〇県〇市〇ー〇)
就業時間

休憩時間

休日

時間外労働

 

 

9:00~18:00

12:00~13:00

土日、祝日

あり(月平均20時間)

★裁量労働制を採用している場合は、以下のような記載が必要です。

例)「企画業務型裁量労働制により、〇時間働いたものとみなされます。」

賃金

 

 

 

 

 

月給20万円(ただし、試用期間中は月給19万円)

★時間外労働の有無に関わらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用する場合は、以下のような記載が必要です。

①基本給 ××円(②の手当を除く額)

②□□手当(時間外労働の有無に関わらず、〇時間分の時間外手当として△△円を支給)

③〇時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

加入保険 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
募集者の氏名又は名称 〇〇株式会社
(〇派遣労働者として雇用する場合) 雇用形態:派遣労働者

今回の改正により追加等された事項

 

労働条件明示に当たって遵守すべき事項

労働条件を明示するにあたっては、職業安定法に基づく指針等を遵守することが必要です。

〈職業安定法に基づく指針等の主な内容〉
○ 明示する労働条件は、虚偽又は誇大な内容としてはなりません。
○ 有期労働契約が試用期間としての性質を持つ場合、試用期間となる有期労働契約期間中の労働条件を明示しなければなりません。また、試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合は、試用期間中と本採用後のそれぞれの労働条件を明示しなければなりません。
○ 労働条件の水準、範囲等を可能な限り限定するよう配慮が必要です。
○ 労働条件は、職場環境を含め可能な限り具体的かつ詳細に明示するよう配慮が必要です。
○ 明示する労働条件が変更される可能性がある場合はその旨を明示し、実際に変更された場合は速やかに知らせるよう、配慮が必要です。

 

変更明示の方法等について

以下の①~④のような場合に、変更明示が必要となります。

①「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合

例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

 

②「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合

例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円

 

③「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合

例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月

 

④「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合

例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

 

変更明示は、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。以下の①の方法が望ましいですが、②の方法などにより適切に明示することも可能です。

 

①当初の明示と変更された後の内容を対照できる書面を交付する方法

②労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したりする方法や、脚注を付ける

〈注意〉

※変更明示を行う場合でも、当初の明示を安易に変更してはなりません。学校卒業見込者等については、特に配慮が必要であることから、変更を行うことは不適切です。また、原則として、内定までに、学校卒業見込者等に対しては職業安定法に基づく労働条件明示を書面により行わなければなりません。

※変更明示が適切に行われていない場合や、当初の明示が不適切だった場合(虚偽の内容や、明示が不十分な場合)は、行政による指導監督(行政指導や改善命令、勧告、企業名公表)や罰則等の対象となる場合があります。

※変更明示が行われたとしても、当初の明示が不適切であった場合には、行政指導や罰則等の対象となることには変わりありません。

変更明示に当たっては、その他にも以下のような点に留意が必要です。

労働者が変更内容を認識した上で、労働契約を締結するかどうか考える時間が確保されるよう、労働条件等が確定した後、可能な限り速やかに変更明示をしなければなりません。
変更明示を受けた求職者から、変更した理由について質問をされた場合には、適切に説明を行うことが必要です。
当初明示した労働条件の変更を行った場合には、継続して募集中の求人票や募集要項等についても修正が必要となる場合がありますので、その内容を検証した上で、必要に応じ修正等を行うことが必要です。

 

今回の職業安定法の改正によって罰則が強化されています。

労働条件通知書を作成するのは当然ですが、トラブルを避けるためにも、求職票等の労働条件を変更して採用する場合には、採用決定を求職者に伝える前に知らせるべきでしょう。また、変更の内容については、書面交付で、できる限り会って説明するのが望ましいでしょう。

就業規則による労働条件の不利益変更

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。常時10人以上とは、正社員のみならず常用のパートタイマーや契約社員などの非正規の社員も含まれます。あくまでも常用ということなので、例えば通常は8人で繁忙期に2,3人雇い入れるような場合は含まれません。

では、常時10人未満なら就業規則は作成義務もないし、作らなくてもいいのではないか?というご質問を受けることがありますが、どうなのでしょうか?

就業規則を作成しておくことでトラブルを未然に防ぐことができるので、きちんとした就業規則であれば作成するのが望ましいです。きちんとした就業規則というのは、ただ単にひな形を使いまわしたようなものではなく、自社に合わせた基準で作成したものということです。もちろん法律に則ったものでなければいけません。

 

さて、作成した就業規則を変更する場合で、労働条件を不利益に変更することは可能なのでしょうか?

例えば、始業・就業の時刻を伸ばして1日7時間から8時間労働へ変更する、年間休日を短縮する、休職期間を短縮するなどといった、労働者にとってはその変更は不利益な変更となってきます。

労働条件を変更するための方法としては、以下の3つの方法があると考えられます。

  1. 労働者と使用者の合意によって変更する方法
  2. 就業規則を改定することによって変更する方法
  3. 労働協約の改定によって変更する方法

今回は、2の就業規則の改定によって変更する場合について考えていきます。

まず、先に述べたような労働契約の内容である労働条件の変更については、労働契約法8条では、次のように定められています。

「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」

このように、労働契約の内容の変更が合意によりなされるものであることが明確に規定されています。

 

この労働契約法8条に加えて、労働契約法9条では、次のように定めています。

「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。」

法9条において、法8条の合意の原則を就業規則の変更による労働条件の変更の場面にあてはめて、使用者が就業規則の変更によって一方的に労働契約の内容である労働条件を労働者の不利益に変更することができないことを確認的に規定したものになります。

 

ただし、上記労働契約法9条但し書きで、「次条の場合は、この限りでない。」とあるように次条である労働契約法10条では以下のとおりに定められています。

「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」

つまり、労働契約法10条では、①変更後の就業規則を周知させ、②その就業規則の変更が合理的なものであれば、合意の原則の例外として、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果が生じることを規定したものとなっています。

 

そして、合理性の判断要素として、下記の例示をしています。

  • 就業規則の変更によって労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等との交渉の状況等
  • その他の就業規則の変更に係る事情

 

上記の判断要素を総合的に考慮して判断し、それが合理的であれば、労働者の合意はなくても就業規則によって変更ができるということになります。

 

これについて詳細にみていくと、不利益変更をした就業規則の拘束力を争った第四銀行事件(最判平成9年2月28日)では、不利益変更による合理性の判断基準として下記のものをあげています。

  • 就業規則の変更によって社員が被る不利益の程度
  • 変更の必要性の内容・程度
  • 変更後の就業規則の内容自体の相当性
  • 代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況
  • 労働組合等との交渉の経緯
  • 他の労働組合又は他の社員の対応
  • 同種事項に関する我が国社会における一般的状況等

 

合理的であるかどうかは、①就業規則の業務上の変更の必要性②労働者の受ける不利益の程度を比較衡量して、その変更内容に社会的な相当性があるかどうかも考えていくことがポイントとなります。

まず、判例では、業務上の変更の必要性について、3つに分けて検討しています。

  1. 通常の業務上の必要性
  2. 高度の業務上の必要性
  3. 極度の業務上の必要性

1についてみていくと、例えば福利厚生の不利益変更について、不合理な内容を是正する場合は(通常の)業務上の必要性があると考えられます。社内の全体的な労働条件の見直しの中でバランスが取れているものであればよいという考え方です。

次に2についてみてみると、例えば合併によって賃金カット等の統一の労働条件を設定する場合は、合併による労働条件の統一の要請が強く作用すると考えられるので、業務上の必要性があると考えられます。

最後に3については、例えば経営危機による人件費削減の必要性など、賃金削減などの不利益変更もやむを得ないものと考えられるため、業務上の必要性があると判断されると考えられます。

 

また、労働者が受ける不利益の程度については、変更後の労働条件の内容と変更の程度の両面から考える必要があります。そして、変更の程度は事案によって異なりますが、変更される労働条件の内容により合理的かどうかの判断も異なってくると考えられます。

例えば、労働条件の内容として、賃金や退職金についての不利益な変更は、労働者にとって大きな不利益変更と考えられますが、逆に福利厚生についての不利益変更は、労働者にとっては小さな不利益変更になると考えられます。それを踏まえた上で、賃金や退職金に関する労働条件の不利益変更は、高度の業務上の必要性があると言えるのかどうかについての検討が必要となり、いくら引き下げるのかについても重要になってきます。

そして、変更後の就業規則の内容に相当性があるかどうか判断していきます。例えば、特定の層にだけ不利益が偏在する場合には、その不利益を緩和するために代替措置を取るなどの他の層とのバランスを取ることが重要となります。


まとめ

就業規則を不利益な内容に変更する場合には、できる限り、経営上のいたしかたない事情であったり、雇用を維持していくためのやむを得ない措置であることを詳細に説明して、従業員に納得してもらう努力をすることがトラブルを防ぐことにつながるので、説明会を開くことはとても重要なことです。説明会では、変更の必要性はもちろんのこと、会社の状況や同業他社の状況も交えて説明をし、同意を得られない場合は複数回開くことも考えるようにしてください。会社側での丁寧な対応を心掛ける必要があります。

労働条件の変更は、合意による変更が原則となっています。また、合意による変更であれば、就業規則の変更が合理的であるかを判断することは必要ないので、できる限り労働者との合意により労働条件を変更するようにしましょう。

実務的には、代替措置を提示することも効果的となります。

例えば、退職金を引き下げるのであれば、定年を引き上げるなど、社員にとって不利な変更もあるけれど、有利な変更も加えて同意をしてもらうようなことも考えられます。

しかしながら、労働条件の変更に同意しない従業員がいる場合、就業規則の変更に合理性があれば変更も可能となりますので、合理性を満たす内容の変更としていことが必要となってきます。

 

労働条件の不利益変更は、トラブルになりやすいので慎重に行うことが重要となってきます。

 

 

定年後、継続雇用する際の賃金決定・改定の注意点

平成25年4月1日に改正高年齢者雇用安定法(以下、「改正高齢法」)が施行されました。改正高齢法は、従業員を65歳まで雇用する措置を企業に求めています。

高年齢者雇用安定法は、定年の定めをする場合、60歳を下回る定めをしてはならない(坑内作業の業務を除く)としています。これは定年の定めをすること自体を義務付けるものではなく、次のいずれかの措置を講ずることを企業に求めています。

  1. 定年を65歳以上まで引き上げる

  2. 継続雇用制度を導入する

  3. 定年制そのものを廃止する

 

現在、企業の多くは上記2の60歳定年に達した人を継続して雇用する「継続雇用制度」を導入しています。

改正高齢法では、この「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みが廃止され、労使協定の基準に該当しない人も、老齢厚生年金の受給開始年齢に達するまでは、原則として希望者全員を再雇用しなければいけなくなりました。

引き上げのスケジュールは、以下のようになっています。

  • 平成25年4月1日~平成28年3月31日まで・・・61歳
  • 平成28年4月1日~平成31年3月31日まで・・・62歳
  • 平成31年4月1日~平成34年3月31日まで・・・63歳
  • 平成34年4月1日~平成37年4月1日まで・・・64歳
  • 平成37年4月1日以降・・・65歳

ここで定年後に再雇用をした場合に給料を減額するのは「不利益変更」にあたらないのか?という疑問が生じるかもしれません。

これは「不利益変更」の問題は生じないと解されています。再雇用の場合は、60歳までの労働契約は一旦終了するため、そもそも「不利益変更」にあたるかどうかを比べる対象がないという考え方になります。

ただし、就業規則で再雇用後の給料などの労働条件を定め、そのことを周知させている場合は、再雇用後の労働条件を就業規則に定められている労働条件に満たないものとすることはできません。


定年後に継続して雇用する場合、従業員の体力や会社の状況も考えて労働条件を見直すことになります。具体的には次のような労働条件について考えていく必要があります。

  • 労働時間および労働日数はどうするのか?フルタイムなのか、短時間勤務とするのか?社会保険の加入も含めて検討する必要があります。

  • 給料は月給制なのか、時間給なのか。

  • 賞与や退職金の有無

  • 継続雇用した従業員のポジションは今までと同じなのか、それとも業務の負担を減らし責任の程度も変更するのか。

再雇用後の労働条件については、早めに従業員と話し合う機会を設けるようにしましょう。その際、健康状態も確認しながら、労働条件を決めていくようにしましょう。また、再雇用者の生活設計も含めて検討するのが望ましいです。再雇用後の給料を大幅に下げる場合は、勤務日数、労働時間を減らしたり、責任の程度、業務の内容も見直すことが必要です。業務内容や責任の程度が今までと変わらないのに給料が下がったのでは、再雇用者の不満が大きくなります。給料と業務内容(業務の負担)はバランスが取れるように考えるようにしましょう。

また、再雇用者の労働条件は、再雇用者の能力に応じて再雇用者ごとに決めるのが望ましいです。再雇用者全員一律とすると、逆に不満が生じる可能性があります。

少子高齢化によって労働力人口が減少し、人手不足が問題となっています。再雇用後の労働条件について話し合った結果、従業員が再雇用を希望するかどうかを早めに確認することは、人材の確保や資金繰りなど会社を経営する上でとても重要となります。

 

年金の受給資格期間が10年に短縮

平成29年8月1日時点で、老齢年金の受給資格を得るために必要とされる「保険料納付済期間と保険料免除期間」(受給資格期間)が10年に短縮されることになりました。

現状は受給資格期間が25年以上必要なので、この改正によって年金の受給資格者が増加することになります。

受給資格期間が10年以上25年未満で、下記の生年月日に該当する人には平成29年2月下旬から7月上旬の間に日本年金機構から「年金請求書(短縮用)」と年金の請求手続きのご案内が送付されます。

  • 大正15年4月2日~昭和17年4月1日生まれ →平成29年2月下旬~3月下旬送付
  • 昭和17年4月2日~昭和23年4月1日生まれ →平成29年3月下旬~4月下旬送付
  • 昭和23年4月2日~昭和26年7月1日生まれ →平成29年4月下旬~5月下旬送付
  • 昭和26年7月2日~昭和30年10月1日生まれ【女性】→平成29年5月下旬~6月下旬送付
  • 昭和26年7月2日~昭和30年8月1日生まれ【男性】→平成29年5月下旬~6月下旬送付
  • 昭和30年10月2日~昭和32年8月1日生まれ【女性】→平成29年6月下旬~7月上旬送付
  • 大正15年4月1日以前生まれの方 →平成29年6月下旬~7月上旬送付
  • 共済組合等の期間を有する方 →平成29年6月下旬~7月上旬送付

請求手続きは29年8月1日以前でも可能となっています。

また、この請求手続きは、海外からも行うことができます。

海外から年金を請求するときは、日本年金機構のホームページからダウンロードした年金請求書に記入をし、必要書類を添えて、日本での最終住所地を管轄する年金事務所へ提出することになります。

年金の決定後、平成29年8月以降に「年金証書・年金決定通知書」が送られてきます。年金の支払いは、平成29年10月以降となります。

 

ところで、受給資格期間が10年に満たない場合はどうなるのでしょうか?

受給資格期間が10年に満たない場合でも「国民年金の任意加入制度」や「後納制度」を活用すれば、10年という要件を満たすことができる場合があります。

「国民年金の任意加入制度」とは、以下の条件に当てはまる方が対象となります。

(1)日本国内に住所がある人で、年金額を増やしたい方は65歳までの間
(2)日本国内に住所がある人で、受給資格期間を満たしていない方は70歳までの間
(3)海外に住所がある人で20歳以上65歳未満の方(日本国籍を有する人に限る)

また、後納制度とは時効で納めることができなくなった国民年金保険料を平成27年10月~平成30年9月までの3年間に限って、過去5年分まで納めることができる制度です。

注意点として、老齢基礎年金を満額で受給するためには40年の保険料納付期間が必要なため、10年間の保険料納付期間だけでは年金額は少額となるということはご留意ください。

平成29年4月から短時間労働者の適用対象が広がります

平成28年10月1日から、厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の企業に勤務する短時間労働者が、厚生年金保険等の適用対象となりました。

 

短時間労働者とは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、下記の①~④のすべての要件に該当する方となります。

①週の所定労働時間が20時間以上であること

週の所定労働時間とは、就業規則、雇用契約書等によって、その者が通常の週に勤務すべき時間となります。

②雇用期間が1年以上見込まれること

  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が1年以上である場合
  • 雇用期間が1年未満であり、雇用契約書に契約が更新される旨が明示されている、または、同様の雇用契約で雇用された者が更新等により1年以上雇用された実績がある場合

 

③賃金の月額が8.8万円以上であること

週給、日給、時間給を月額に換算したものに、各諸手当等を含めた所定内賃金の額が8.8万円以上である場合となります。ただし、次に掲げる賃金は除かれています。

  • 臨時に支払われる賃金および1か月を超える期間ごとに支払われる場合(例えば、結婚手当、賞与等)
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例えば、割増賃金等)
  • 最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例えば、精勤手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当)

 

学生でないこと

ただし、次に掲げる方は被保険者となります。

  • 卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
  • 休学中の方
  • 大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方

 

厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の企業に勤務する短時間労働者に加えて、平成29年4月から被保険者数が常時500人以下の企業のうち、次の①または②に該当する事業所に勤務する短時間労働者も厚生年金・健康保険の適用対象となり、その対象が広がりました。

 

①労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること)に基づき申出をする法人・個人の事業所

②地方公共団体に属する事業所

短時間労働者に該当する方を採用した場合は、速やかに短時間労働者用の「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出することになります。

また、労使合意に基づき申出をする場合は、労働者の同意を得たことを証する書類(同意書)を添付の上、本店または主たる事務所の事業主から「任意特定適用事業所申出書/取消申出書」を提出します。

同意書については、いろいろなパターンの書式があるので日本年金機構のホームページをご参考になさってください。