非居住者等から不動産を購入する場合の注意点

非居住者や外国法人(以下、「非居住者等」といいます。)から日本国内にある土地等の不動産を購入する場合、その売買代金から10.21%の税率で計算した所得税及び復興特別所得税を差し引いて、税務署に納付しなければいけません。

「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

つまり、日本人だけれど海外での居住が1年以上の場合外国人で海外に居住 又は 日本での居住が1年未満の場合外国法人で日本に登記がない法人が「非居住者」に該当してきます。

逆に、日本人で日本に居住している人はもちろん居住者ですが、日本人で海外に居住している人でもそれが1年未満であれば「居住者」となります。また、外国人も日本での居住が1年以上の場合は「居住者」となります。そして、外国法人でも日本に登記がある法人は「居住者」となります。

ですので、売主が日本人であるからといって、「居住者」とは限らないので注意が必要です。

また、源泉徴収をする義務は「土地等の譲渡対価の支払をする者」のすべてが含まれているため、一般のサラリーマンなども非居住者等に対して土地等の不動産の売買代金を支払う場合には、原則として10.21%の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければいけないことになります。

なお、個人の方が自己又はその親族の居住の用に供するために、非居住者等から土地等の不動産を購入した場合であって、その土地等の不動産の売買代金が1億円以下である場合には、その個人の方は、支払の際に源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

 

買主は、この土地等の不動産の売主が「居住者」なのか、それとも「非居住者」なのか判断できないような場合が生じてくる可能性があります。

このような場合についての裁判で、東京地裁平成28年5月19日判決(平26(行ウ)114・棄却・控訴・Z888-2035)についてみていきたいと思います。

 

Ⅰ 事案の概要

原告A社が、甲との不動産売買契約に基づいて売買代金7億6215万円余を甲に支払ったところ、課税庁は売主である甲は「非居住者」であるからA社は源泉徴収義務を負うとし、納税告知処分を受けたという事例です。

 

Ⅱ 争点

①甲の非居住者該当性

②A社は売買代金について、所得税法212条1項の源泉徴収義務を負っていたのか否か

 

Ⅲ 判旨

 

1 売主甲の非居住者該当性について

甲は、米国において、米国籍及び社会保障番号を取得しており(日本国内には米国発給の旅券を用いて入国)、平成10年以降、多くて年4回日本に入国しているものの、その滞在期間は、1年の半分にも満たない。そして、甲が、平成12年11月に米国住居を購入し、平成13年以降は米国住居において長男と同居して生活していたことに鑑みれば、本件支払日(平成20年3月)において、甲の生活の本拠は、米国住居にあったというべきである。

甲は、支払日において、日本国内に住所を有しておらず、支払日まで引き続いて1年以上日本国内に居所を有していなかったのであるから、甲は、所得税法上の「非居住者」であったというべきである。

 

2 原告A社の源泉徴収義務について

A社が、売買代金を支払う際、甲が「非居住者」であるか否かを確認すべき義務を負っていたこと自体については当事者間に争いがない。

A社の担当者は、甲の住所として、米国住所を送金依頼書に記入していたこと、経理担当者から非居住者か否かの確認を支持されていたこと等の事実関係の下において、甲の住民票等の公的な書類を確認していたとしても、そのことのみを持って、A社が本件注意義務を尽くしたということはできないから、本件条項に基づく源泉徴収義務を否定すべき理由はない。

よって、A社は 、売買代金を支払う際に、源泉徴収義務を負っていたと判断されました。

 

裁判でも、厳しい判断をされているので、不動産を購入する際はお気を付け下さい。