外国人の社員(居住者)の配偶者控除・扶養控除について

昨今人手不足なこともあり、外国人の方を雇っているという会社も多くなっていると思います。そんな日本に住む外国人社員(居住者といいます。)が配偶者や子供などが日本に住んでおらず海外に住んでいる場合でも、日本の配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・障害者控除(以下、扶養控除等)は適用になるでしょうか?

海外に住んでいる方を非居住者といいますが、もっと厳密に定義を確認すると、『国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上の居所を有する個人以外の者』とされています。分かりにくい言い回しですが、まさに日本で働く外国人の方の親族で海外に暮らすことが日常となっている方が当てはまります。ちなみに日本人の方のお子様が1年以上の海外留学をしているような場合も当てはまってきます。

結論から先に言うと、このような非居住者でも、扶養控除等の適用を受けることができます。

では、その適用を受けるにあたって何か書類は必要になるでしょうか?

平成28年度の扶養控除等申告書から「非居住者である親族」という欄が増えました。

非居住者である親族がいる方が、所得税または住民税の扶養控除を適用する場合には、①「親族関係書類」と ②「送金関係書類」の二つを会社に提出する必要があります。

 

「親族関係書類」とは?

まず、「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

① 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し(コピーでOK)

② 外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます。)が発行した書類(原本の提出又は提示が必要)

(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

例)戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書

外国政府等が発行した書類について、一つの書類に国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の全てが記載されていない場合には、複数の書類を組み合わせることにより氏名、生年月日及び住所又は居所を明らかにする必要があります。

また、16 歳未満の非居住者である扶養親族(扶養控除の対象とならない扶養親族)であっても障害者控除を受ける場合には、親族関係書類及び送金関係書類の提出又は提示が必要です。さらに、16歳未満の扶養親族を有する者で、個人住民税の非課税限度額制度(人的非課税制度)の適用を受ける者も含みます。

なお、親族関係書類は、扶養控除等申告書の提出時に会社に提示する必要があるため、その年の最初に給与が支給される日までには確認が必要となります。確認が出来なかった場合は、扶養のカウントはせずに給与計算を行うことになります。

「送金関係書類」とは?

次に「送金関係書類」は、仕送りしている事実を確認できる書類です。(コピーでOK)

なお、居住者が、国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを、その年に同一の国外居住の親族に3回以上行った場合の送金関係書類の提出又は提示については、その年の全ての送金関係書類の提出又は提示に代えて、次に掲げる①~⑤の事項を記載した明細書の提出及び各国外居住の親族のその年の最初と最後の支払いに係る送金関係書類の提出又は提示として差し支えないこととされています。(所得税基本通達120-9)

1居住者の氏名及び住所

2 支払を受けた国外居住親族の氏名

3 支払日

4 支払方法

5 支払額

 

「親族関係書類」、「送金関係書類」のいずれについても日本語への翻訳文が必要な点は注意が必要です。誰が翻訳するかの制限はありません。