書籍の20%OFFで衝動買いしてしまう大阪八尾の税理士・社会保険労務士の阿部ミチルです。
先日、近畿税理士会の相続・遺産分割についてのセミナーに行ってきました。
近畿税理士会のセミナーでは、税務研究会やぎょうせいなどの書籍販売が行われていて、20%OFFで買うことができます。書籍は基本定価売りなので、20%OFFとなると思わず買ってしまい、今回も小冊子も含めて5冊買ってしまいました。買って損はないのですが、持って帰るのがちょっと大変という・・・(汗)
相続関係のセミナーは、たくさんの先生方で会場はいっぱいです。わたしも含めて、再確認や勉強しておきたいという先生方が多いのだなと改めて感じました。
セミナー内容は、相続・遺産分割の際の注意点や、養子縁組の際の注意点など様々あったのですが、今後の実務がどうなるのか皆さん関心が深い最高裁平成28年12月19日大法廷判決についても詳しい説明がありました。
この判例は、預貯金が遺産分割の対象になるかどうかが争われた事案で、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期預金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になるとされました。
従前の裁判例(最判昭和29年4月8日判決、最高裁平成16年4月20日判決等)では、預貯金は可分債権であり、法律上当然に分割される、すなわち遺産分割の対象にはならないとされていました。
この事案では、不動産が少額で財産のほとんどが預貯金であり、さらに一方の相続人が多額の特別受益を受けていました。多額の特別受益がある場合について預貯金債権が当然に分割されて遺産分割の対象とならないとすると、特別受益制度が害されてしまい、共同相続人間の実質的な公平が図れないなどの申立人の主張を結果として最高裁が認めたことになります。
実務では、従前は相続人の全員の同意があったときのみ、預貯金を遺産分割の対象とすることができましたが、この判例変更により、相続人の同意の有無にかかわらず、遺産分割の対象になってきます。弊害としては、遺産がほとんど預貯金で特別受益者もない場合、従前であれば、各相続人が法定相続分に応じて金融機関から払戻しを受けることができましたが、今後は、遺産分割手続が必要となってしまうということが考えられます。
金融機関への請求の問題以外にも、相続開始後に被相続人の預貯金に入金になった保険金や年金などの取扱いがどうなるのか?など、税務にかかわることもまだ明らかになっていない部分が多くあるので、今後もアンテナを張っていたいと思います。