被災者に対して自社製品等を提供した場合の法人税法上の取扱い

今年は、台風や地震など多くの災害が起きていますね。。。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

被災された方に自社の製品等を無償で提供する法人もあるかと思います。この場合の自社製品等の提供は、どのような会計処理になるでしょうか?

法人税基本通達9-4-6の4(自社製品等の被災者に対する提供)では、

法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

とあります。したがって、不特定又は多数の被災者を救援するため緊急に行うものである場合には、寄附金や交際費には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入されます。

この自社製品等は、自社で製造した製品に限らず、また自社の社名が入っていない物品や他から購入した物品であっても、その企業のイメージアップにつながるなど、実質的に広告宣伝の効果を生じるようであれば、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入して差し支えありません。

元従業員に未払残業代を支払った場合の源泉徴収税額

厚生労働省は、平成29年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を取りまとめ、公表しています。

公表している結果は以下の通りです。

(1) 是正企業数                             1,870企業(前年度比 521企業の増)
うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、262企業(前年度比 78企業の増)
(2) 対象労働者数                         20万5,235人(同 107,257人の増)
(3) 支払われた割増賃金合計額        446億4,195万円(同 319億1,868万円の増)
(4) 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり2,387万円、労働者1人当たり22万円

結果を見ると増加傾向にあるのがうかがえます。昨今では、弁護士事務所に未払残業代の請求を依頼する労働者も増えており、「解決金」という名目で支給するケースもあります。

では、未払残業代の支給をする場合、源泉所得税の徴収はどのようになるのでしょうか?

未払残業代の支給方法として、当期に①「一時金(精算金等)」として支給する場合と②「過去分の給与」として支給する場合が考えられます。

 

まず、源泉所得税の取扱い。

一時金の場合・・・当期の賞与として源泉徴収

※「解決金」という名目出の支給であっても「賞与」として認識します。

過去分の給与とする場合・・・年末調整のやり直し

 

では、法人税法上はどうなるでしょうか?

法人税では、当期に損金算入(経費とする)します。これは、過去の労働に起因する残業代であっても債務が確定したときに損金に算入するという考え方があるためです。

 

次に、未払残業代を一括ではなく分割で支給する場合はどうなるでしょうか?

分割支給をする場合、例えば約1年間定期的に支給するのであれば賞与ではなく「給与」として源泉徴収していきます。定期ではなく不定期で例えば2回の分割支給の場合は「賞与」として源泉徴収していきます。

ところで、支給対象者が元従業員の場合、「扶養控除等申告書」は退職によってその効力はなくなっているため、「給与」「賞与」の源泉所得税を計算する際は「乙欄」を使用します。

「賞与」の源泉徴収税額の計算は、前月の給与がベースとなりますが、もうすでに退職している従業員の場合は、前月分の給与がない場合も考えられます。この場合は、下記のように計算します。

⓵(賞与の支給額ー社会保険料等)÷6※

②⓵の金額を給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の「乙欄」に当てはめる。

③②で求めた税額×6=前月の給与がない場合の賞与の源泉徴収税額

※その賞与の計算の基礎となった期間が6か月を超える場合は12

 

源泉徴収税額の計算はともあれ、これからますます企業にとっては労務管理につてい厳しくなっていきますが、未払残業代の請求をされないようにきちんと給与計算を行うようにしましょう。

「健康保険被扶養者(異動)届」の添付書類が一部変わります。

平成30年10月1日以降、「健康保険被扶養者(異動)届」を日本年金機構に提出する場合の添付書類の取扱が変更になります。

厚生労働省が、日本国内に住む家族の方を被扶養者に認定する際の身分関係及び生計維持関係の確認について、申立てのみによる認定を行わず、証明書類に基づく認定を行うよう、事務の取扱いが示されたためです。

なお、一定の要件を満たした場合には、書類の添付を省略することができます。

扶養認定を受ける方が被保険者と同居しているときは下記表の項番1・2を、別居しているときは項番1・2・3を添付します。

項番 添付書類 目的 添付の省略ができる場合
次のいずれか

・戸籍謄本または戸籍抄本

・住民票※1

(提出日から90日以内に発行されたものに限る)

続柄の確認 次のいずれにも該当するとき

・被保険者と扶養認定を受ける方双方のマイナンバーが届書に記載されていること

・左記書類により、扶養認定を受ける方の続柄が届書の記載と相違ないことを確認した旨を事業主が届書に記載していること

年間収入が「130万円未満※2」であることを確認できる課税証明書等の書類 収入の確認 ・扶養認定を受ける方が、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることを確認した旨を、事業主が届書に記載しているとき※3

・16歳未満のとき

仕送りの事実と仕送額が確認できる書類

・振込の場合・・・預金通帳等の写し

・送金の場合・・・現金書留の控え(写し)

・16歳未満のとき

・16歳以上の学生のとき

※1 被保険者と扶養認定を受ける方が同居していて、被保険者が世帯主である場合に限ります。

※2 扶養認定を受ける方が次のいずれかに該当する場合は「180万円未満」です。(収入には公的年金も含まれます)

・60歳以上の方

・障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者

※3 障害年金、遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合には、受取金額の確認ができる通知書等のコピーの添付が必要です。

実務的には、マイナンバーを取得することが必須になっていく流れです。そして、扶養の認定も今よりも厳格になって行く流れですね。

 

平成30年分の年末調整:変更点について

あっという間に9月も終わりに差し掛かり、年末調整の時期が近づいてきました。控除証明書もちらほら届いている方もいらっしゃるかもしれません。

平成30年の年末調整では配偶者控除、配偶者特別控除の税制改正の影響で今までと変わった点があるので、解説していきます。

 

前年まで従業員さんに提出していただいてたのは、以下の二枚】

・翌年分の扶養控除等申告書

・当年分の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書

 

平成30年からは、1枚増えて3枚に】

・翌年分の扶養控除等申告書

・当年分の保険料控除申告書

・当年分の配偶者控除等申告書

 

今までの「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」が「保険料控除申告書」と「配偶者控除等申告書」の2枚に分かれたイメージです。

 

《保険料控除申告書》

内容的には変わっていなくて、前年までのものより欄がゆったりになりました。

 

《配偶者控除等申告書》

平成30年からは給与所得者本人の所得金額の区分によって配偶者控除、配偶者特別控除の額が変わるので、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」で区分を判定してから、配偶者の所得金額でさらに控除額を判定していくことになります。実際、見慣れない書類で従業員さんが自分の所得金額を把握するのも難しいかもしれないので、「配偶者控除等申告書」の裏面の説明書きが印刷されたものを渡したり、記載例も一緒に渡してあげた方がよいでしょう。

「配偶者控除等申告書」は、平成30年からは「配偶者特別控除」を受ける給与所得者だけでなく「配偶者控除」を受ける給与所得者も提出が必要になるのでご注意ください。

 

生産性を向上させると助成金額が増えます(生産性要件)

わが国では、今後労働力人口の減少が見込まれる中で経済成長を図っていくためには、労働生産性を高めていくことが不可欠です。このため、国は事業所における生産性向上の取組みを支援するため、生産性を向上させた事業所が労働関係助成金(一部)を利用する場合、その助成額又は助成率の割増等を行っています。法人だけでなく個人事業主も対象となっています。

「生産性要件」って何?

助成金の支給申請書を労働局に提出する時点で、「直近の決算書」と「3年前の決算書」から計算した「付加価値」を各決算月の末日時点の「雇用保険の被保険者数」で割った数値を生産性といいます。

・生産性要件は、その3年度前に比べて生産性が6%以上伸びていること 

・「生産性」の伸びが1%以上6%未満の場合、金融機関から一定の「事業性評価」を得ること

(この場合は、借入金(なければ口座)のある金融機関から「与信取引等に関する情報提供に係る承諾書」に捺印をもらって労働局に提出する必要があります。)

※「付加価値」=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課

人数がもともと少ない会社だと、3年前に比べて利益が出ていても雇用保険に加入要件のないパートさんなどの人数に左右されてしまうこともありますが、要件を満たした場合は、ちょっと面倒に感じるかもしれませんが助成金額の20%増額されるものもあり、メリットが大きいので検討する余地は大いにあります。

 

「生産性要件」の設定をしている助成金

  • (再就職支援関係)
    • 労働移動支援助成金
      早期雇入れ支援コース、中途採用拡大コース
  • (雇入れ関係)
    • 地域雇用開発助成金
      地域雇用開発コース
  • (起業支援関係)
    • 生涯現役起業支援助成金
  • (雇用環境の整備関係)
    • 人材確保等支援助成金
      雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コース、人事評価改善等助成コース、設備改善等支援コース、雇用管理制度助成コース(建設分野)、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)、作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
    • 65歳超雇用推進助成金
      高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コース
    • キャリアアップ助成金
      正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース
  • (仕事と家庭の両立支援関係)
    • 両立支援等助成金
      出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース
  • (人材開発関係)
    • 人材開発支援助成金
      特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース
  • (最低賃金引き上げ関係)
    • 業務改善助成金

対象にならない場合

1)開業してから期間が経っておらず、3年前の決算書がない場合

2)3年前の決算月の末日時点で雇用保険の被保険者がいない場合

3)3年前の決算期の初日から助成金の支給申請をする日までの間に会社都合による退職がある場合

 

「生産性要件」の計算式

生産性=付加価値/雇用保険被保険者数

再度「付加価値」について確認していきます。

「付加価値」=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課

これら付加価値の対象となるものとして、通勤費などの諸手当があります。しかし、通勤費を旅費交通費に含めているような場合は対象になりません。あくまでも、どの勘定科目で処理していたかで判断されてしまします。勘定科目ありきなので、生産性要件の適用を考える場合は勘定科目をきちんと考えて会計処理すると有利になります。

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果:約7割の事業場が法令違反

厚生労働省では、「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成29年度)」を平成30年8月7日に公表しています。これは、平成29年度に、長時間労働が疑われる25,676事業場に対して実施された労働基準監督署による監督指導の結果を取りまとめたものです。

この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働数が1カ月当たり、80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

平成29年度は、監督指導を実施した事業場のうち70.3%の事業場で労働基準法などの法令違反が認められました。平成28年度の66.0%よりも、その割合が増加しています。

 

【平成29年4月から平成30年3月までの監督指導結果のポイント】

(1) 監督指導の実施事業場:25,676事業場
このうち、18,061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反あり。

(2) 主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
① 違法な時間外労働があったもの:11,592事業場(45.1%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:        8,592事業場(74.1%)
うち、月100時間を超えるもの:     5,960事業場(51.4%)
うち、月150時間を超えるもの:       1,355事業場(11.7%)
うち、月200時間を超えるもの:     264事業場( 2.3%)
② 賃金不払残業があったもの:1,868事業場(7.3%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:         1,102事業場(59.0%)
③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:2,773事業場(10.8%)

(3) 主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
① 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:20,986事業場(81.7%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:      13,658事業場(65.1%)
② 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,499事業場(17.5%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
月80時間を超えるもの:       1,878事業場(41.7%)

※ 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。

(厚生労働省ホームページより)

なお、この公表に当たって、監督指導事例も紹介されています。いくつかピックアップすると、

◎36協定を締結・届出することなく、全労働者の約3分の1に当たる労働者28名について、月100時間を超える違法な時間外・休日労働(最長:月224時間)を行わせていた。

◎法定の休憩時間を与えていなかった。

◎健康診断において異常の所見があった者に係る医師の意見聴取を行っていなかった。

◎常時50人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、1年以内ごとに1回のストレスチェックを実施していなかった。

平成31年(2019年)4月から、働き方改革関連法による労働基準法や労働安全衛生法の改正も実施され、より一層の法令遵守が求められることになります。

ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

外国人の社員(居住者)の配偶者控除・扶養控除について

昨今人手不足なこともあり、外国人の方を雇っているという会社も多くなっていると思います。そんな日本に住む外国人社員(居住者といいます。)が配偶者や子供などが日本に住んでおらず海外に住んでいる場合でも、日本の配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・障害者控除(以下、扶養控除等)は適用になるでしょうか?

海外に住んでいる方を非居住者といいますが、もっと厳密に定義を確認すると、『国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上の居所を有する個人以外の者』とされています。分かりにくい言い回しですが、まさに日本で働く外国人の方の親族で海外に暮らすことが日常となっている方が当てはまります。ちなみに日本人の方のお子様が1年以上の海外留学をしているような場合も当てはまってきます。

結論から先に言うと、このような非居住者でも、扶養控除等の適用を受けることができます。

では、その適用を受けるにあたって何か書類は必要になるでしょうか?

平成28年度の扶養控除等申告書から「非居住者である親族」という欄が増えました。

非居住者である親族がいる方が、所得税または住民税の扶養控除を適用する場合には、①「親族関係書類」と ②「送金関係書類」の二つを会社に提出する必要があります。

 

「親族関係書類」とは?

まず、「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

① 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し(コピーでOK)

② 外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます。)が発行した書類(原本の提出又は提示が必要)

(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

例)戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書

外国政府等が発行した書類について、一つの書類に国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の全てが記載されていない場合には、複数の書類を組み合わせることにより氏名、生年月日及び住所又は居所を明らかにする必要があります。

また、16 歳未満の非居住者である扶養親族(扶養控除の対象とならない扶養親族)であっても障害者控除を受ける場合には、親族関係書類及び送金関係書類の提出又は提示が必要です。さらに、16歳未満の扶養親族を有する者で、個人住民税の非課税限度額制度(人的非課税制度)の適用を受ける者も含みます。

なお、親族関係書類は、扶養控除等申告書の提出時に会社に提示する必要があるため、その年の最初に給与が支給される日までには確認が必要となります。確認が出来なかった場合は、扶養のカウントはせずに給与計算を行うことになります。

「送金関係書類」とは?

次に「送金関係書類」は、仕送りしている事実を確認できる書類です。(コピーでOK)

なお、居住者が、国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを、その年に同一の国外居住の親族に3回以上行った場合の送金関係書類の提出又は提示については、その年の全ての送金関係書類の提出又は提示に代えて、次に掲げる①~⑤の事項を記載した明細書の提出及び各国外居住の親族のその年の最初と最後の支払いに係る送金関係書類の提出又は提示として差し支えないこととされています。(所得税基本通達120-9)

1居住者の氏名及び住所

2 支払を受けた国外居住親族の氏名

3 支払日

4 支払方法

5 支払額

 

「親族関係書類」、「送金関係書類」のいずれについても日本語への翻訳文が必要な点は注意が必要です。誰が翻訳するかの制限はありません。

自然災害(台風、地震など)による休業で休業手当の支払いは必要か?

今回の9月4日の台風では、想定外の甚大な被害となり、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。リフォーム会社の方は休日返上で対応に追われているとお聞きしています。1日も早く通常の生活に戻る日が来るようお祈り申し上げます。

 

今回の台風は前日からJRが運休するという情報もあり、前日から臨時休業にすると決めていた会社も多くあったかと思います。また、直近では北海道で起きた地震でも、停電の影響もあり臨時休業にした会社は多かったと思います。このような場合の休業日の給与の取扱いはどうなるでしょうか?

 

労働基準法第26条には、以下のように書かれています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。(傍線筆者)

この条文では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」とあります。「使用者の責めに帰すべき事由」は広範に定められており、例えば事業業績悪化に伴う生産調整のための休日や取引先の倒産による休日など直接事業者の責任ではないものも含まれます。

自然災害による休業の場合は、こういった使用者の責に帰すべき事由には当てはまらないため、休業手当の支払義務はないと考えられます。

 

では、さらに詳しく解説していきます。

 

前日から臨時休業を決めていた場合(全日休業)、給与の支払い義務はあるか?

自然災害により始業時刻前に全日休業とした場合は、使用者の責に帰すべき事由には該当せず、かつ、使用者の経営管理上の責任とも考えられないため、給与の支払い義務は生じないものと考えて結構です。

 

一部休業とした場合の給与の支払い義務は?

今回の9月4日の台風では、午前中だけ仕事という方もいらっしゃったかと思います。このように就業時間中に従業員を早退させる場合には一応使用者責任の範囲外とみなされます。ただし、単に雨が降っているから早退させるというのでは合理的な理由に欠けるため、暴風警報や大雨警報の発令など客観的な裏付けが必要なので慎重な判断が求められます。

このように1日のうちの一部を休業とした場合の取扱いについては、現実に就労した時間に対し支払われる賃金が平均賃金の100分の60に満たない場合には、その差額を支払う義務が生じます。

例えば、平均賃金が1万円の従業員の場合、休業手当は6,000円(10,000円×60%)となります。
1日のうち一部休業した場合、現実に就労した分の賃金が5,000円である場合は6,000円-5,000円=1,000円となり、休業手当として1,000円を支払うことになります。現実に就労した分の賃金が8,000円であった場合には、8,000円>6,000円となるため、休業手当を支払わなくてもよいことになります。

 

有給休暇との関係は?

有給休暇は労働の義務があることを前提としているため、台風のために「休日」とされていた場合はそもそも労働の義務はなく、従業員は有給休暇を取得できないと考えられます。したがって、従業員が事後的に有給休暇にしてほしいと言ってきたとしても、それを認める義務は会社側にはありません。

台風で臨時休業になった日と事前に申請していた有給休暇の日が被った場合は、予知して申請されたわけではないので会社は有給休暇を認めなくてはいけません。

また、就業規則で、自然災害の際の特別休暇について定めていた場合は、それに従うことになります。会社側が恩恵的に有給休暇としてあげる分には全く問題はありません。

 

民泊で生じた所得の申告について

訪日外国人観光客が増加していますが、そんな中、宿泊施設の不足を補うために民泊が急増しています。一定のルールを定めて、健全なサービスの普及を図るために住宅宿泊事業法(民泊新法)が平成30年6月15日に施行されました。

この民泊新法では、旅館業法で禁止する住宅専門地域での宿泊サービスを認可する一方で、1年間の営業日数を180日までと定めています。

民泊新法では、3種類の事業者を定めています。それぞれの事業者について、届出や登録を義務付けて、これらの事業者が適正な業務を運営することによって、観光客の多様な宿泊ニーズに的確に対応し、観光客の来訪・滞在を促進することが期待されています。

1.住宅宿泊事業者

(役割)

民泊サービスを営む者(物件のオーナー)

(義務の内容)

・宿泊者の衛生や安全管理

・宿泊者名簿の備付け

・騒音の防止・ごみ処理等に関する説明

・苦情等への対応等

・市町村に則したガイドラインに基づいた適用をすること

(届出及び申請先)

都道府県知事等

2.住宅宿泊管理業者

(役割)

住宅宿泊事業者の委託に基づき、住宅の維持保全に関する業務を行う者(民泊運営代行会社)

(義務の内容)

・業務処理の原則・公正誠実義務

・再委託の禁止

・住宅宿泊事業者への定期報告

(届出及び申請先)

国土交通大臣

3.住宅宿泊仲介業者

(役割)

宿泊者と住宅宿泊事業者との間の宿泊契約の締結の仲介事業を行う者(民泊仲介サイト)

(義務の内容)

・業務処理の原則・公正誠実義務

・名義貸し・不当な勧誘等・あっせん等の禁止

・住宅民泊仲介業約款の作成及び届出

・住宅宿泊仲介業務に関する料金の公示等

(届出及び申請先)

観光庁長官

 

民泊によって生じた所得の課税関係

民泊は一般の家庭が主体となることが想定されます。では、一般の家庭が民泊を行って得た所得の申告はどうすればいいのでしょうか?

民泊によって得た所得は、原則として雑所得になります。ただし、専ら民泊によって生じる所得によって生計を立てている場合など、民泊が所得税法上の事業として行われることが明らかな場合には事業所得となります。

必要経費にできるものとしては、民泊を行うために支払う仲介手数料などとなり、水道光熱費や固定資産税など事業用とプライベートの部分の費用の両方が含まれている場合には、例えば民泊に利用している部分の床面積の総床面積に占める割合実際に宿泊客を宿泊させた日数をもとに案分するなど、業務の内容や資産の利用状況などを総合的に勘案して判断することになります。

 

住宅借入金等特別控除との関係

居住している自宅を利用して民泊を行う場合、床面積の2分の1以上に相当する部分を専ら自己の居住の用に供しているなどの要件を満たせば、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

 

居住用財産の3,000万円の特別控除の適用関係

居住用家屋を利用して民泊を行っていて、この家屋を譲渡した場合には、居住用に供している部分に限って、居住用財産の3,000万円の特別控除の適用対象となります。

 

消費税について

民泊で宿泊者から受け取る宿泊料は、ホテルや旅館などと同様に消費税の課税対象となります。当課税期間の基準期間(2年前)における課税売上高が1,000万円以下の場合には、当課税期間は免税事業者に該当するため、消費税の申告・納税義務はありません。

 

民泊による所得もきちんと申告するようにしてください。

土地の賃貸借契約に係る印紙税

建物の賃貸借契約をする場合、建物だけ利用するということは考えにくく、その敷地である土地も併せて賃貸借すると考えられますが、この場合の建物の賃貸借契約書については印紙税の課税文書ではないため、印紙は不要となっています。

では、土地そのものの賃貸借契約の場合、印紙税はどうなるのでしょうか?

土地そのものの賃貸借契約の場合、印紙税の課税文書に該当してきます。土地そのものの賃貸借契約なので、駐車場やビニールハウスなどは施設の利用に該当し建物の賃貸借契約書と同様に印紙は不要となっています。

 

土地そのものの賃貸借契約は印紙税の課税文書に該当するわけですが、いくらの印紙を貼ればいいのでしょうか?

土地の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の2文書(地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書)に該当してきます。印紙税の金額を判定する場合の「記載された契約金額」は、土地の賃貸料は含まれず、権利金その他名称を問わず後日返還されないものをいうので、後日返還される予定の保証金や敷金は記載金額には含まれません。

したがって、賃貸料と後日返還予定の敷金のみの記載しかない土地の賃貸借契約書は、「契約金額の記載のないもの」に該当し印紙税は200円になります。